裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/10/30 09:12 「御子柴くんの甘味と捜査」若竹七海

 ケン・リュウは面白かったが・・・正直疲れた。 

 ここらで日本人作家の作品に目を向け、少し楽をしようと手に取ったのが若竹七海「御子柴くんの甘味と捜査」。 主人公御子柴将(すすむ)の初登場は連作短編「プレゼント」。で、その後はずっとお茶を引いてたキャラなのだが、2014年に本作で再登場。華麗な(?)カムバックを果たした。ただ、私が「プレゼント」をよんだのはごく最近のことなので、若竹さんご自身でいうほど、長いブランクを感じなかった。 

 「プレゼント」当時は長野県警所属で小林舜太郎警部補とバディを組んでいた山岳救助隊志望の御子柴将くんは、実家が東京だということもあって、警視庁捜査共助課に出向になり、主に長野県警と警視庁の合同捜査の際のコーディネートが主たる業務なのだが、実のところ日常は長野と東京双方の同僚からスイーツのお取り寄せの調達。で、その合間に勃発する事件というのが、なかなかひとひねりあって・・・ 

 そんな御子柴くんが捜査の進展になんとなくスッキリしない時に決まって電話をくれるのが前の上司、長野県警の小林舜太郎警部補。事件のいきさつや捜査状況を話しているうちに小林警部補は「なーんかヘンなこと思いついちゃった。聞きます?」と鋭い指摘をしてくれ、事態は思わぬ方向へ向かうことになる。 

 ミステリも充分面白いが、警視庁、長野県警の面々の無茶ぶりに振り回される御子柴くんのトホホ感と、登場する数々のスイーツ、特に長野県各地の銘菓と名産を眺めるのも楽しみの一つ。大半は無類の甘党である捜査一課の玉森剛主任に横取りされてしまうため、やっと御子柴くんがありつき「これは、うまいわ」で話が締められる。

 

2020/10/25 20:23 「生まれ変わり」ケン・リュウ

 前作「母の記憶に」が母親の影が強かったのに対し、ケン・リュウの短編集第三弾「生まれ変わり」は、父親の影が強い。 

 個人的に好きなのは「化学調味料ゴーレム」「訪問者」「神々は・・・」(三部作)「闇に響くこだま」「隠娘(いんじょう)」。多分アクションのスピード感と笑える要素があるか、そして科学的な記述についていけているかが好きと普通の境界線ではないかと思う。 

 とはいえ・・・総じて結構難解な作品集である。しかも分量が多い。 

 本当にこれらの作品を楽しめる人というのは、自然科学の各分野と歴史、古典に精通していることが前提だろう。だから、学生時代に数学で一度ならず赤点をとったことがあるついしょうこは「数えられるもの」は、その数学に関する記述の部分は結構苦痛だった。しかも結末がシーラッハを連想させるほど陰惨だ。読んでいて結構気が重かった。(20篇もあればこういうものもある、そういうことだ。)

 

 「読書を楽しむ」というのは、「自分が面白いと思うであろう本を選びだす」能力を高めることだけでなく、「面白くその本を読む」作業も結構大事だったりする。以前別の場所で書いたことがあるかもしれないが、具体的にはこういう時に「物語の本質とあまり関係がないと思ったら、よくわからないところは、とばして読む」、これに尽きる。これが出来ないと、読むこと自体が楽しくなくなる。

 

2020/10/21 06:03 「母の記憶に」ケン・リュウ

 猛暑のさなか、ラニーニャ現象発生のニュースに身構えていた2か月前。 

 邦訳の第一オリジナル短編集「紙の動物園」と引き合わせてくれた第二短編集「母の記憶に」をハヤカワポケミスの書架で発見。よしっ、とばかりに借りた。 

 短編というよりむしろショートショートというべき分量の冒頭の数編の後に、本格短編とでも言いたくなるような、長めで濃い作品がどん、どん、と目の前に供される。実を言うとこの辺から読み進むスピードがガクンと落ちた。昼食後、猛暑をしのぐためにエアコンの効いた部屋に立てこもり、そこでページをめくるということは、必然的に睡魔との闘いを余儀なくされる。残念ながら勝ち目はほとんどない。 

 本作の刊行に合わせて来日した際のインタビュー記事によるとリュウ氏は、アメリカでは家族愛は恋人同士の愛ほど重視されおらず、アメリカ文学の中で抜け落ちた部分を書きたい、とお考えとのこと。確かにどの作品も家族愛が濃い。 

 例えば表題作「母の記憶に」は分量にすればたった5頁。ここに「私」ことエミーとその母の、現実ではあり得ない「時空の隔たりによる」親子のふれあいとすれ違いが濃密に書き上げられている。で、読み終わって思うことは、両者の本質というか「母と娘は、これがすべてだ」といっても過言ではない普遍性だったりする。 

 個人的に気持ちがノッたのは「重荷は常に汝とともに」「状態変化」「万味調和―軍神関羽のアメリカでの物語」の3篇。ノリは今一つだったが揺さぶりが大きかったのは「存在(プレゼンス)」と「ループの中で」の2篇。前者は介護が重くしかかる境遇になったことが、後者はプラスコロナの影響下で、父と向き合う時間がマックスに達している今の生活実態に共鳴しているのだと思う。 

 最近昔ほどSFを読んでいない。がしかし、本作を読みながら昔読んだSF作品、近未来小説の記憶が呼び覚まされることが多かった。「パーフェクト・マッチ」を読んでJ.オーウェルの「1984」を思い、冒頭の数編は星新一や筒井康隆の作品を思い出させた。他にもSFではないが「残されしもの」は、読みながらマーセル・セローの「極北」を思い出していた。 

 訳者あとがきのほかに、作家の藤井大洋さんが「どこにでもいるケン・リュウ」というタイトルのあとがきを寄せて下さっているのだが、これが興味深い。藤井氏は自作品に関することでリュウ氏とも親交があるそうで、思わず藤井氏の作品を機会があったら読んでみたい、という気持ちになった。

 

2020/10/18 06:24 「東京タラレバ娘SP」と「リモラブ」2020.10月

 「タラレバ娘」は、実はオリジナル放映は一度も見ていない。(笑)

で、今回吉高由里子演ずる倫子の恋人役で出演した松下洸平さんだが、さわやかで優しく穏やかな朝倉さんが、祭壇の前でまさかの「ごめん!」

うわぁーやってくれたー! 

フツー(いや、すでにこの状況はフツーとは言えないんだが)ここでわけわかんない説得で乗り込んできた女をいったん返し、式が終わって間もなく浮気、のほうがありそうな気がするんだが、どうだろう?

で、ラストで倫子に合鍵を返されて深々と頭を下げる仕草が、なんか八郎さんをほうふつとさせます。

 

 一方の先日スタートした「リモラブ」は、

「あれ、八郎さんと、阿湖姫がオフィスラブ?」でユルく(笑)

そっか、脚本が水橋文美江さんだもんねー

 

ところで、檸檬さんは誰なんだろう?渡辺大だったら面白いのに。いや、そもそも男かどうか、すら怪しいわけだし、相手が女だったら、なお面白いかも。

2020/10/18 06:10 「秘密の森」Season2 第十六話 後編2020.10.5

 一杯やろうとおち合ったシモクとヨジン。ヨジンは出会った時のように、髪が短くなっていた。シモクの異動の報告を聞いて寂しそうなヨジン。「廊下の先でイ・チャンジュン総長、ヨン・ウンス、カン・ヨンチョル検事長そしてユン課長が楽しそうに立ち話をしていた。後ろからソ・ドンジェが自分を追い越して彼らに近づいて行ったが、イ・チャンジュン総長はまるで「こちらに来てはいけない」とでもいうように彼を手で制止した。」シモクは先日の夢の話をする。「またいつか」再会を祈って二人は乾杯した。

 意識は戻ったものの、話は出来ないソ・ドンジェをイ・ヨンジェ会長は見舞った。「話は出来ませんけど、こちらの言うことは全部理解しています。」と妻は言った。「早く良くなって。以前のようにばっちり決めて、闊歩しなくちゃ。あなたは私とパク・グァンスの関係を知る唯一の人間なの・・・早く良くなってね。」激励なのか脅しなのかよくわからない言葉を残し、イ・ヨンジェ会長は病室を後にする。 

 ヨジンは服役中のユン課長に会いに行った。「差し入れの送り主が分かりました。」送り主はキョンワン。彼が二年前に殺害したパク・ムソンの息子だった。何かの間違いだろうというユン課長に「似たようなことをする人を見たことがあります。多分あなたの存在は、彼にとって大事な意味を持っているのでしょう。それが何かはご自身で聞いてみてください。」また来ますとヨジンは約束した。

 偽の目撃者チョン・ギヒョクは供述を始めていた。龍山警察署の強行犯係にも、異動で新しい捜査員が配属された。ヨジンも部署が変わったが、挨拶に誰も反応しない。四面楚歌は相変わらずだった。

 シモクはカン・ヨンチョルに会いに行った。釣り糸を垂れながらも釣る気の全くないカン・ヨンチョルは「ウ・テハはまだ逮捕されないままのようだな」と漏らす。「どれだけここにとどまっても、過去は消せませんよ」というシモクの言葉に「つくづく冷たい奴だな」とカン・ヨンチョル。

 議政府検察支局のチョン・ミナ検事の許に、セゴク署の自殺事件のファイルが戻ってきた。セゴク署の同僚が隠していた自殺した巡査の遺書と、「自分は異動になって担当を外れるので、貴女が捜査を引き継いでください。」というシモクのメッセージを受け取り、チョン・ミナは仕事にかかる。

 警察庁の情報局に新任の部長が着任し、あいさつ回りをしていた。彼は案内役が紹介しなかったヨジンにわざわざって近寄って来た。「チェ・ビッから貴女のことは聞いている。一緒に仕事するのが楽しみです。よろしく、ハン・ヨジン警部」握手を求められたヨジンは少しだけ気分が上向いた。

「ファン検事、やっぱりここにいたんですね!」シモクが振り向くとそこには二年前自分の担当事務官だったキム・ホソプ事務官がいた。なんと今のオフィスはシモクの隣の部屋だという。二年前一緒に仕事をしたチョ女史は郷里に近い支局に異動になったとのこと。彼らの出身地を忘れずにいたシモクのことを「相変わらずですね」とキム事務官。

思わず笑顔になったシモクを見て、「あ、今笑いましたよね」とキム・ホソプは盛り上がった。

 

というわけで、韓流ドラマ「秘密の森Season2」はこれで終わりとなりました。よくわからない法律用語を極力端折ったため、ざっくりとまとまりのないあらすじ解説にお付き合いくださって、ありがとうございました。