裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/04/02 22:35「棲月・隠蔽捜査7」今野敏

若竹七海と今野敏を行ったり来たりする日々に、なかなか終りが見えない。

 隠蔽捜査シリーズは今回の「棲月・隠蔽捜査7」を除けばあと1作、若竹七海はとりあえず「不穏な眠り」までは何とか到達したいのだが、図書館へ行くとなぜか書架にない。

 というわけで、今回は「棲月・隠蔽捜査7」。最初に結末をばらしてしまうが、前作では「去就」というタイトルにもかかわらず、大森署に残留した竜崎署長が、いよいよ本作のラストで神奈川県警の刑事部長に栄転する。

 棲月とはどういう意味だろう?漢和辞典を調べてもそのような熟語は存在せず、ネットで検索した結果、どうやら作者の造語らしいと判明。にしても字面から受ける印象はすこぶるよろしい。

 月の棲、月に棲む。本作ではサイバーテロの実行犯で、殺人事件の主犯のハンドルネーム「ルナリアン」(月に棲む者)を漢字に置き換えたらしいことは読み進むうちに分かってくるが、竜崎は所轄の署長はこれが最後、とばかりに早朝から殺人事件の現場に臨場したり、重要参考人の事情聴取に立ち会ったり、家宅捜索令状を取った後、時間がもったいないからとそのまま現場に届けて家宅捜索に参加したりと、キャリア官僚らしからぬ軽いフットワークを見せる。

 その一方で、捜査本部が設置されている状況で人事の件で署を離れるなどもってのほかだと長官官房の人事課長に大森署まで足を運ばせるわ、逆上した警察庁の生安部長の抗議の電話に、「もうすぐ県警の刑事部長だ。立場は対等になる」と気が大きくなった末に

「用があるならそちらがいらっしゃればいい。こちらからうかがうことは出来ません」

と突っぱねたうえ、「筋を通せ」つまり侘びを入れに来いと喚き散らす先方に

「私は、こういう場合どうやったら筋を通すことができるのかわからないのです」

と言って呼び出しをことごとく拒否するわで、周囲を惑わせる。

 事件解決から異動のその日まで、これまで何かと竜崎と対立してきた、階級は下だが組織内では上席の面々が次々と署長室にやってくる。これがまた面白い。

 

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