裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/06/09 22:30アシガール 第9話 後編

惣領と、孤独と

 戦国時代に戻り天野家に顔を出した唯は、早速小平太にレンコンのはさみ揚げを勧める。

 半年ぶりの天野家では「おふくろ様」吉乃は「小平太パパ」信近と再婚し、小平太に「母上」と呼ばれていた。忠清から唯は生まれ故郷へ帰ったと聞かされていた吉乃だったが、婚儀をぶち壊すつもりで戻って来たという唯を「婚儀のことは若君様ご自身がお決めになったことゆえ、決して邪魔をしてはならない」と厳しく戒め、半年の間の出来事を話す。

 唯が去って間もない頃、忠清は家督は成之に譲り、自分は和平の道を探りたいという意向を表明した。忠高は激怒し家中が騒然となる中、羽木は二度も高山勢の奇襲に遭い、忠清は惣領として全軍を率いて出陣していたのだった。今の忠清は自らの望みを諦め、羽木家を継ぐ覚悟を決めて阿湖姫との婚儀に臨もうとしていた。吉乃は「お前がどれほど若君を想っているかは分かっているが、婚儀のことは家臣領民、そしてご自身のために若君様がお決めになったこと。邪魔をしてはならない。」と唯を諭す。

 忠清と阿湖姫の仲睦まじい様子をのぞき見し、自分が入り込む隙間がないことに唯は傷つく。

 

「どこまでもお供します。私は羽木九八郎忠清さまの足軽だから」

 小平太の食べ物の匂いに気付いた忠清。「遠来の客が持参していたレンコンが大層美味で。」という言い訳で、忠清は唯が戻ってきたことに気付く。池のほとりで再会した二人。「わしがどんな思いでお前を帰したと」忠清は唯を抱き締める。

 尊が一往復分の燃料を貯めてくれたこと、本当は阿湖姫との婚儀をぶち壊しに来たこと、でも今はそれが不可能だと分かっていることを話す唯。「若君様が私のことをどう思っているのか聞きたかった」という唯の言葉に、「わしは、心からお前に礼を申さねばならぬ。羽木家惣領、九八郎忠清として」

 「っしゃ!」唯はタイムマシンを池に投げ捨てる。驚く忠清に「こっちに来たら二度と戻らないって決めていた。会えなくなるのはもう嫌だから。私の気持ちは変わりません。どこまでもお供します。私は羽木九八郎忠清さまの足軽だから」自分の気持ちを全て伝えることができた唯は、忠清を残して立ち去る。

 

「現(うつつ)を逃げる、お前の弱さじゃ」

 息子と酒を酌み交わす忠高は、後を継がぬといった時は、忠清の成敗も辞さぬ覚悟をしたと洩らす。なぜ、あのようなことを言い出したのかと尋ねられた忠清。「夢を見たのです。戦のない世の夢を。」親と子が、兄弟が仲睦まじく暮らす、のちの世の夢を。ただ一人の妻をめとり、子をなし、穏やかに暮らす。

「なるほど、夢じゃ。うつつを逃げる、お前の弱さじゃ。」と忠高はつぶやく。「二度とあのようなことは申しません」と忠清は答える。

 

高山宗鶴の陰謀

 一旦は自分に家督を譲ると言っておきながら撤回した忠清に、成之は憎しみを募らせていた。高山方の坂口は、松丸と手を組みたいと思っている高山宗鶴は、忠清と阿湖姫の婚儀を阻止したい。阿湖姫を拉致する計画を持ちかけられる成之に、如古坊は高山とは手を切り、忠清に従う道もあるのではと成之に進言するが、成之は如古坊を襲う。母の久も、如古坊の進言は裏切りだと憎しみを募らせていた。

 

阿湖姫襲撃

 借りていた着物やかつらをあやめに返しに行く矢先に阿湖姫に呼び出された唯。「奥方になるのだから、城下を見ておきたいので一緒に連れて行ってくれ」という姫に女中姿の変装をさせて共に城を出るが、阿湖姫が何者かに連れ去られそうになる。身を隠すことは出来たが、追手に囲まれてしまった二人。唯は阿湖姫を逃がすため、着物を取り替え自分はおとりになることに。着物を脱いだ唯を見た阿湖姫は、唯が女であることに驚く。女中姿で走り出し、追手を引き付けた唯だが、追手に見つかり捕らわれてしまう。

 同じ頃、黒羽城内では忠清の許に「阿湖姫様づきの侍女たちが、姫様の姿が見えないと騒いでいる」と知らせが入る。更に門番の話では「阿湖姫様づきの侍女が一人、足軽の唯之助を共に城外へ出た。」と。

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