裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/06/27 19:20アシガール 第11話 前編

「幸せになっていただきたかったのです。」

 長沢城内の煙は、やはり尊の作った「金の煙玉」を使った忠清の仕業だった。尊の作ったゴーグルをつけた忠清は、唯をおぶって奥御殿を脱出。門番を難なく説き伏せて、悪丸共々城からの脱出に成功する。

 黒羽城内では、成之が仏間で気分が悪くなった阿湖姫を部屋まで送り届けていた。「このところ仏間にこもりきりのようだが、先日忠清が朝早く城を出たのを見かけたのと関わりがあるのか、よもや高山領へ向かったというのではあるまい。」と尋ねる成之に阿湖姫は「私と兄で送り出した。忠清さまは必ず唯之助を救い出すと。覚悟を決めて送り出したつもりだったものの不安だ。」阿湖姫の言葉に成之は仰天する。「成之様は高山に手づるがおありのはず、どうか二人を助けるために力を貸してほしい」と頭を下げる阿湖姫は「私に頭を下げるくらいなら、なぜ忠清を止めなかった」と成之に詰め寄られ、

「幸せになっていただきたかったのです。忠清様が想われる方と共に。」

と泣きながら心の内を吐露し、頭を下げる。成之は思わず「こやつも阿呆じゃ。」と漏らす。

 忠清が唯之助を助けに単身長沢城へ向かった、あちらでは松丸義次を名乗っているようだと聞き、激怒する忠高。小平太は忠清救出のため、今すぐ出陣したいと願い出るが、成之は「うかつに攻め入れば、忠清の正体を明かすことになる。まずは小柿城で様子をうかがうべき」と反論。緊張が走る二人の様子に忠高は「二人で行け」と下知を下す。

 

「唯之助とは、何者じゃ」

 追手をかわすには山越えをするしかない。救いに来たものの、難儀をさせると詫びる忠清に「全然、オッケーっす」とかつらを外し、険しい山道を進む唯。

 信近の寝所にやってきた「じい」こと信茂は「奇妙でならぬ。一国の惣領が足軽ごときに命を賭けるとは、尋常ではない。唯之助とは何者じゃ。」と訝る。

 

「実のところ、大将の一番の仕事はやせ我慢じゃ。」

 羽木にいる高山の間者から高山宗鶴の許に、「自分たちが拉致した娘は阿湖姫ではなく偽物だった。また先日松丸義次を名乗ってやって来たのは羽木家の嫡男、九八郎忠清だった」と知らせが届いていた。目の前に居ながらみすみす忠清を逃したと激怒した宗鶴は、大規模な山狩りを指示する。

 丸二日水だけで空腹な唯は、目の前のキノコを食べようとして初対面の時のように忠清に止められる。「若君だって食べていないのは一緒なのに、いつもと全く変わらない」という唯に忠清は「まず、徒歩で戦う雑兵の腹から満たせ。大将は食らわずとも笑っておれ」と幼い時から父に繰り返し言われてきたと答える。

 先を行く悪丸が小さな山寺を見つけ、3人はそこでお粥をふるまってもらう。先を急ぐという忠清に和尚は、夜の山道は熊が出るなど危険だと止めるが、偶然そこへ身を寄せていた如古坊に身元を明かされてしまう。如古坊は、和尚に迷惑がかかるから早々に発てと忠清に警告するが、和尚は「我が主は御仏のみ。ゆえに難儀する者をただお助けするのみ。」と3人を泊める。

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