
嵐の大野智くんと、戸田恵梨香さん、そして小説には出てこないが、佐藤浩市さんというキャスティングで好評だったTVドラマ「鍵のかかった部屋」だが、原作の方はシリーズ第3段「ミステリー・クロック」ともなると、結構読んでいてしんどい。
しんどいのは多分私が歳をとったせいなのだと思うが、密室殺人のトリックの難解さとテクノロジーの進歩がなんというか、「やり過ぎ」の領域に達してしまっていた。
視覚トリックを利用した迷路、いくつもの時計の特性を利用したアリバイ工作、そして推進数百メートル下での復讐劇。テクニカルタームが多すぎて、その記述を読んでいるうちに消耗してしまった。
犯行の手口だけではない。「密室といえばレスキュー(法律事務所)の青砥先生」という評判が法曹界で完全に定着してしまった青砥純子が、密室トリックの解明は相方の榎本に任せておけばいいものを、変な仮説を次から次へと繰り出すものだから、「青砥先生、一応弁護士なのに何でこうもおバカなのよ」と無駄に疲れてしまう。
先日、読売新聞に本作の文庫版が刊行の広告があった。「ミステリー・クロック」は2冊に分けて発売されるらしい。確かにあれをそのまま文庫化したら、ボリュームがありすぎて手に余ってしまうだろう。妥当な判断だと思う。