裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2021/01/14 19:23「サブマリン」伊坂幸太郎

 連作短編「チルドレン」で強烈な印象を残した家裁調査官、陣内と武藤に15年ぶりに「サブマリン」で再会することが出来た。

 

 無免許運転で事故を起こし、相手を死なせてしまった少年棚岡とサイバー愉快犯のような小山田を担当することになった武藤調査官。中々心の内が見えない棚岡少年には、誰にも言えない過去、というか動機があった。それはかつて陣内調査官が担当した事件にも関係しており、調査は陣内の旧友、長瀬などを巻き込んで、思わぬ方向へと進展していく。やがて二人は事件の真相にたどり着くのだが、終盤思わぬところで小山田少年が関わってくる。

 

 少年犯罪と更生。事件であれ事故であれ、死亡案件ともなると彼らのその後の人生には、厳しい未来が待っている。無神経なのか気配りが行き過ぎているのかわからない陣内の行動に読み手も翻弄されながら、被害者を取り巻く人たち、加害者と彼らを取り巻く人たち、そしてそこに寄り添う調査官たちの力を借りて、過ちを犯す、罪を犯す、そしてそれを裁き、処分を下す。その線引きの難しさと苦さについて考える。過ちを悔い、償いについて答えを探し続ける、そのことについて考える。

 

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