裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2017-07-07 20:40:36.0心の準備

(「テロ」の装丁。今回は特別に裏表紙も掲載)

 

 というわけで、シーラッハの「テロ」を借りる。(「というわけで」のいきさつについては、前回を参照されたし)刑事裁判の進捗をそのまま戯曲にした法廷劇で、読者は観客であり、また裁判の参審員(アメリカの陪審員、日本の裁判員のようなものらしい)の役で劇に参加する構成。結末は有罪と無罪の2種類が用意してあり、どちらの判決を下すかはあくまでも読者自身、というわけだ。 

 では公判の争点は何かというと「多くの人を救うために無辜の人間を殺害することは許されるのか」というもので、もうこれはどちらが正しいかという類の問いではなく、またどっちもありだよね、と折衷案を提示することも不可能な厳しい選択を迫られる。 

 今のところ、日本国内の日常生活で一般市民がこのような判断を強いられることはごくまれだ。だが海外に目を向ければそれが許されない世界が急速に広がっている。EUもアメリカも、誰も望んで分断したわけではない。おそらく本人たちも訳が分からないまま、残酷な究極の選択をさせられた結果なのだ、と私は思う。 

 なんの準備もないまま、いきなりこのような事態に直面して思考停止に陥らないよう、予め想像力を駆使してほしいととシーラッハは伝えたいのかもしれない。

 

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