裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2017/10/13 21:28カズオ・イシグロ特集3 「私を離さないで」

(2014年のブログより)

最近、小説を読んで泣かない。

多分、最後に小説を読んで涙を流したのは、カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」だったように思う。

 「わたしを離さないで」は、不思議な小説である。学園恋愛小説であり、ミステリでもある。バイオ系SF小説のようでもあり、間違いなく正統派の文芸作品である。語り口がとても静かで抑制が効いていて、言葉が突き刺さるのではなく胸にひたひたとしみ込んでくる感じ。だから読み終わった直後の涙もまた静かにあふれてきた。

 しかし「わたしたちが孤児だったころ」はあまりに結末が残酷で、涙するどころかショックでなぎ倒され、へたり込んでしまった。さらにブッカー賞受賞作「日の名残り」は、「はてな?」という感じで、すごく感動したという記憶がない。もし誰かにカズオ・イシグロのイチオシを挙げろ、と言われたらやはり「わたしを離さないで」だと思う。

 余談だが、妙高市図書館所蔵の「日の名残り」は、以前私が持ち込んだものである。

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