裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2018-02-11 22:40:42.0「AX(アックス)」伊坂幸太郎

  冒頭に「蜜柑」と「檸檬」が出てきたところで、あ、これは「グラスホッパー」や「マリアビートル」に続く、妙な殺し屋が活躍するお話だな、と察しがついたが、当たったのは「妙な殺し屋」の部分だけで、あと半分は…活躍はしているんだが、何だか切ない。 

 とにかく殺し屋「兜」の恐妻家ぶりが面白い。妻の機嫌を損ねないように何があっても反論しない。その一方で、生い立ちに家族愛が皆無だった「兜」は、家庭を持ったことで裏家業の仕事のモチベーションに変化が現れる。エージェントというよりは元締めのような「医者」からの、ほとんど脅迫のような仕事の依頼を「兜」はどうかわすのか。これがかなり予想外の結末。最終篇の「FINE」では息子の克己が父の秘密に肉薄するが、そこにあの「医者」が現れて… 

 伊坂さん曰く「今までは息子の視線で物語を書いてきたが、自分も結婚し子供が生まれて、父親の視点というものが生じてきた」ことが作品に反映しているという。なるほど、これが伊坂流「父の愛」なのね、と楽しく読んだ。

 

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