裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/05/03 16:38 「ファンシイ・ダンス」1989年

 現在大河ドラマ「麒麟が来る」で斎藤道三を好演中の本木雅弘さんは、名作「おくりびと」の主演よりはるか昔、「シコふんじゃった」とか、この「ファンシイ・ダンス」とか、結構変な作品に出演していた。公開が1989年、監督は周防正行。周防監督は「ディープな世界」を追い求めるうちに社交ダンスからは「Shall we ダンス?」を、実際の裁判からは「それでも僕はやってない」という作品を送り出した。

 本木さんはさらにこの「ディープな世界の裏側」を模索し続け、名作「おくりびと」に到達するのだが、今回はある意味「おくりびと」の一種(?)でもある僧侶、特に禅寺で修行中の若き雲水たちと彼らを導く僧侶の物語。

 先日、映画版をBSプレミアムで初めて視聴したが、うーん・・・バッサリやるようだが、映画をきっかけに、岡野玲子の原作(コミック)を読んでほしいと思った。映画版ならではの面白さには、残念ながら到達していないのだ。

 たとえば「脚抜け」して遊んで帰ってきたところを見つかって罰策(肩にばしっ!と喝を入れるあれ)を食らうシーン。

 原作では、陽平たちの罰策は、隣室の者たちが春燕さんという古参の雲水の打つ罰策の音の迫力に「すげぇ」とビビるのだが、実は郁生が「寿司のことをバラす」と先輩を脅し、その取引に応じた古参の雲水が、陽平たちの代わりにサトウの切り餅を打っている、という図式。ここで陽平は、郁生と古参の取引の様子を見ながら「こいつ、一人で勝手にアナザーカントリーするなよ」と呟くのである。

 「アナザー・カントリー」とは、イギリスの舞台作品であり、映画化もされた作品で、舞台が全寮制のパブリックスクール。つまり陽平たちは彼らと境遇が余りにも似ているので、陽平は作中で度々「アナザーカントリーの世界だ」とぼやいている。実は件の「切り餅に罰策」は、パロディなのだ。

 というわけで、映画「ファンシイ・ダンス」を見たら、次は映画「アナザー・カントリー」を見て、できたら最後に、岡野玲子の原作のコミック「雲遊歌舞(ファンシィ・ダンス)」を読んで、パロディの場面を拾ってほしい。