裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/06/18 05:33 アシガール 第10話 後編

「何というか、私は唯が好きなのです。」

 松丸義次の話では、昨夜遅く高山から知らせが来て、阿湖姫の身柄は現在、長沢城で預かっている。息子宗熊と婚儀を執り行いたいと言ってきた。至急妹の安否を確かめる必要があり、父が自分を遣わしたという義次。

足軽を嫁にするとは、と宗鶴を嘲笑う忠高だが、忠清は気が気ではない。

 唯の救出を禁じられた忠清だが、秘かに義次と阿湖姫をたずね、婚儀の件を承知したこと、ついては姫の無事を確かめるためにも、兄の松丸義次を遣わすと返事を書いてほしい、唯の救出のために力を借りたいと頼み込む。

 命を助けられたというだけでなく自分は唯が好きだから、もう一度若君様に会わせてやりたい。「私のことは、お気遣いなく。」忠清の気持ちを知った阿湖姫は、彼を手助けすることに。

 

唯、脱出に失敗

 脱出の機会をうかがう唯の許へ、宗熊が菓子を持ってやってくる。今は見張りが交代する時刻で、手薄なのでやって来られた、という宗熊。今がチャンスと外へ出ようとする唯に、宗熊は「わしも行く」と言い出す。行き先を問われて「黒羽城に戻る」と答えた途端、宗熊と言い争いになり警固の者を呼ばれ、唯は「くま」こと宗熊が高山宗熊だと知る。

 宗鶴の前に引き出され、自分が高山の本城、長沢城に連れてこられたと知った唯は、宗鶴から「姫は間もなく宗熊と祝言を上げるのだ」と聞かされ仰天する。激昂し宗熊を打ち据える宗鶴の剣幕に怯える唯。今度は立派な座敷ではなく、鍵のある座敷牢に閉じ込められる。

 

母はすべてお見通しなのだ

 吉乃の許へ、暫く国境の見回りのために城を留守にする、兄上の母上をよろしく頼むと挨拶に来た忠清。「よもや唯之助を助けるために独りで事を起こそうとしているのでは?」と尋ねられ「そのようなことは微塵も考えておらぬ」と言い切った忠清だったが、翌朝早く一人で城を抜け出そうとすると、庭先に悪丸が控えていた。おふくろ様に言われてここで待っていた、これをお渡しするようにと。差し出したのは秘密兵器が入った唯のリュックだった。受け取って出掛けようとする忠清を引き留めた悪丸はさらに、決して若君様のおそばを離れるなと吉乃に言われたと、同行を申し出る。

 

「戦も婚礼も、人の言いなりになってちゃダメだよ」

 閉じ込められてひもじい唯の許へ、宗熊が煎り豆を持ってやってくる。粗暴な父との関係に息苦しさを感じる宗熊に「戦も婚礼も人の言いなりになってちゃダメだよ」とアドバイスする唯。自分を励ましてくれる唯の言葉に心を動かされた様子の宗熊は「阿湖姫との祝言がまこと楽しみじゃ」と婚礼に前向きになり、唯は墓穴を掘ってしまう。

 

松丸義次の正体

 松丸家からの使者が到着したと宗鶴に呼ばれ、これでいよいよ偽物であることが露見すると悩む唯。「久しぶりじゃのう、妹よ。」聞きなれた声に顔を上げるとそこにいたのは忠清だった。

 急なことだが、今夜祝言を済ませてしまいたいという宗鶴の提案に同意する忠清。唯は事の成り行きに慌てるが、「ではまた後ほど、阿湖」という忠清に思わず見とれてしまう。

 婚礼の支度を頑強に拒む唯。その時、火の気もないのに、辺りは視界が利かないほどの煙が充満し、奥御殿は大混乱に。煙の正体に心当たりがある唯。「まさか若君、あれを使ったの?