裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/08/17 05:56 「アシガールSP」(その3)2020.07.23 NHK総合

「てか、何なんすか?この女!」「あ、・・・すまん。」 

 祝言を目前に、忠清は自分の境遇を嘆く信茂をなだめていた。「ただ一人全てを背負って・・・」と男泣きする信茂に「わしは一人ではない」と呟く忠清。

 席に着き盃事というところで、同席していた宗熊が「その前にこの地のならわしにて、福を招く月光舞をご披露致したく」と言い出し、白拍子姿のあやめが祝いの口上を述べ、巫女姿の一座の者と共に舞い始める。

 「わらわは月の姫なるぞ。今宵月より舞い降りて愛しき夫を迎えに参った」

巫女たちの間から白拍子姿の唯が現れた。唯の思惑を察した信茂や、最初から計画に協力してくれた宗熊が巫女に交じって踊る一群にまぎれ、唯は忠清を連れ広間を抜け出す。

 喜んだ忠清だが、自分はここを去るわけにはいかないので唯に一人で逃げるよう告げる。「逃げるんじゃない、消えるんです」唯は尊が新しい二人用のタイムマシンを作ってくれたこと、羽木の皆に励まされ送り出してもらったこと。そして「眼の前で、思い切り派手に消えてしまえば、相賀も追い続けることはできない」と逃走計画を話す。

 追手が迫り逃げ回ったものの、相賀勢に囲まれてしまった二人。忠清は相賀に刀を突きつけられた唯に「逃げよ」と言うが、唯は「離れるくらいなら私・・・・若君の手で切って!」と言い放つ。

 皆が絶句する中、朝から何も食べていない唯の腹の音が鳴り響いた。意表を突かれた忠清は「お前はまこと面白い」と笑いだす。唯と消える決心をした忠清は、唯を連れて物見の櫓へ登った。見上げる相賀に「妻が迎えに参ったゆえ、忠清、月に戻らねばならぬ。ご容赦下され」と忠清。抱き上げた唯が起動スイッチを抜くと、二人の姿は跡形もなく消えた。「消えた・・・」怯える家臣たち。「まこと、月に?」相賀は立ち尽くした。 

 

「尊、唯に会わせてくれたこと、心より礼を申す。」

 唯が忠清と共に平成に戻ってきた。再会を喜ぶ速川親子と忠清。「あちらでは夫婦かもしれないけど、ここでは高校生だから」部屋は別々、会うのは午後八時までと言われ、唯はすねるが、忠清はあっさりと了承する。 

 制服デートや壁ドンを楽しむ唯だったが、覚が次は自分が忠高に挨拶しに行きたい、美智子がその次は吉野様に来ていただきたいと無邪気に盛り上がる中、尊が深刻な顔で両親の話を遮った

「タイムマシンは二人用の便利な乗り物じゃない、これ以上自由に時空を行き来することは出来ない。次に移動したら間違いなく時空に亀裂が入る」

それは平成と戦国のどちらで生きるか選ばなければならないことを意味した。もう離れ離れは嫌だと思う唯は、不安を隠せない。

 下校途中に公園の石垣の前にたたずむ忠清を見つけた唯に「己の墓を見てまいった」と報告する忠清。唯の不安を知る忠清は「わしはどこへも行かぬ」と約束する。唯は忠清の背中に向かって「次の満月の夜に、戦国へ戻りましょう」と提案する。もはや城もない、そんな所へ唯を連れて行けないと忠清は反対するが、羽木の皆を幸せにすることが若君の役目なら、若君の幸せもまたあそこにある、と唯。

「父上母上、改めてお願い致す。唯を伴い永禄に戻りたい。かの世で何が起きるか、それは分からぬ。だが、この忠清、何があろうと唯を守り、二人で命を全う致す。どうか、どうか唯を妻にすることお許し下され。」

帰宅した忠清と唯は、覚と美智子に許しを請い、承諾を得る。

 次の満月はクリスマスイブの前日。早めにクリスマスを祝った後、二人は旅立つことになった。

「なんか緊張感がないんだよな」と覚。「何度もこんなことやってきたじゃない」と美智子。「だから、これからもきっとある」と尊。

 姿が薄れていく間、両親に感謝の言葉を伝えると、最後に唯は尊に言った。

「新しいタイムマシンは次のクリスマスまでににお願いね。次こそは若君とクリスマスデートを・・・」

「ぜんぜんわかってない!」

尊は叫んだ。(了)