裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2018-03-25 19:06:22.0 「お伊勢参り」平岩弓枝

 重量感のある作品や一見の作品が続くと、楽に読める作品が読みたくなる。難解かどうかよりも、なじみがあるかどうかのほうが重要で、平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」シリーズはその代表格である。 

 シリーズ最初で最後になるであろう長編「お伊勢参り」は、例えてみると長編TVドラマで、ストーリーが半ばまで来たところで、「今からでも間に合う『御宿かわせみ』を10倍楽しむこれまでの総集編」のような、来し方を振り返り次回作への期待を促す作品である。 

 台風の被害で大規模改修を余儀なくされ、長期休業となった御宿かわせみ。女将の神林るいは旧知の仲の畝千絵の誘いで伊勢参りに行くことになったのだが、道中は何かと問題が発生し、さながら「明治の東海道ロードムービー」のような様相を呈してくる。 

 また旅館業から解放されたるいは、客として旅をする気楽な身分であることから、徳川の御代から明治維新を経た現在までを回想する。 

 伊勢から戻ってかわせみを再開し、るいには初孫、千絵には二人目の孫の知らせが届いたところで物語は終わる。