裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/10/25 20:23 「生まれ変わり」ケン・リュウ

 前作「母の記憶に」が母親の影が強かったのに対し、ケン・リュウの短編集第三弾「生まれ変わり」は、父親の影が強い。 

 個人的に好きなのは「化学調味料ゴーレム」「訪問者」「神々は・・・」(三部作)「闇に響くこだま」「隠娘(いんじょう)」。多分アクションのスピード感と笑える要素があるか、そして科学的な記述についていけているかが好きと普通の境界線ではないかと思う。 

 とはいえ・・・総じて結構難解な作品集である。しかも分量が多い。 

 本当にこれらの作品を楽しめる人というのは、自然科学の各分野と歴史、古典に精通していることが前提だろう。だから、学生時代に数学で一度ならず赤点をとったことがあるついしょうこは「数えられるもの」は、その数学に関する記述の部分は結構苦痛だった。しかも結末がシーラッハを連想させるほど陰惨だ。読んでいて結構気が重かった。(20篇もあればこういうものもある、そういうことだ。)

 

 「読書を楽しむ」というのは、「自分が面白いと思うであろう本を選びだす」能力を高めることだけでなく、「面白くその本を読む」作業も結構大事だったりする。以前別の場所で書いたことがあるかもしれないが、具体的にはこういう時に「物語の本質とあまり関係がないと思ったら、よくわからないところは、とばして読む」、これに尽きる。これが出来ないと、読むこと自体が楽しくなくなる。

 

2020/10/21 06:03 「母の記憶に」ケン・リュウ

 猛暑のさなか、ラニーニャ現象発生のニュースに身構えていた2か月前。 

 邦訳の第一オリジナル短編集「紙の動物園」と引き合わせてくれた第二短編集「母の記憶に」をハヤカワポケミスの書架で発見。よしっ、とばかりに借りた。 

 短編というよりむしろショートショートというべき分量の冒頭の数編の後に、本格短編とでも言いたくなるような、長めで濃い作品がどん、どん、と目の前に供される。実を言うとこの辺から読み進むスピードがガクンと落ちた。昼食後、猛暑をしのぐためにエアコンの効いた部屋に立てこもり、そこでページをめくるということは、必然的に睡魔との闘いを余儀なくされる。残念ながら勝ち目はほとんどない。 

 本作の刊行に合わせて来日した際のインタビュー記事によるとリュウ氏は、アメリカでは家族愛は恋人同士の愛ほど重視されおらず、アメリカ文学の中で抜け落ちた部分を書きたい、とお考えとのこと。確かにどの作品も家族愛が濃い。 

 例えば表題作「母の記憶に」は分量にすればたった5頁。ここに「私」ことエミーとその母の、現実ではあり得ない「時空の隔たりによる」親子のふれあいとすれ違いが濃密に書き上げられている。で、読み終わって思うことは、両者の本質というか「母と娘は、これがすべてだ」といっても過言ではない普遍性だったりする。 

 個人的に気持ちがノッたのは「重荷は常に汝とともに」「状態変化」「万味調和―軍神関羽のアメリカでの物語」の3篇。ノリは今一つだったが揺さぶりが大きかったのは「存在(プレゼンス)」と「ループの中で」の2篇。前者は介護が重くしかかる境遇になったことが、後者はプラスコロナの影響下で、父と向き合う時間がマックスに達している今の生活実態に共鳴しているのだと思う。 

 最近昔ほどSFを読んでいない。がしかし、本作を読みながら昔読んだSF作品、近未来小説の記憶が呼び覚まされることが多かった。「パーフェクト・マッチ」を読んでJ.オーウェルの「1984」を思い、冒頭の数編は星新一や筒井康隆の作品を思い出させた。他にもSFではないが「残されしもの」は、読みながらマーセル・セローの「極北」を思い出していた。 

 訳者あとがきのほかに、作家の藤井大洋さんが「どこにでもいるケン・リュウ」というタイトルのあとがきを寄せて下さっているのだが、これが興味深い。藤井氏は自作品に関することでリュウ氏とも親交があるそうで、思わず藤井氏の作品を機会があったら読んでみたい、という気持ちになった。

 

2020/10/18 06:24 「東京タラレバ娘SP」と「リモラブ」2020.10月

 「タラレバ娘」は、実はオリジナル放映は一度も見ていない。(笑)

で、今回吉高由里子演ずる倫子の恋人役で出演した松下洸平さんだが、さわやかで優しく穏やかな朝倉さんが、祭壇の前でまさかの「ごめん!」

うわぁーやってくれたー! 

フツー(いや、すでにこの状況はフツーとは言えないんだが)ここでわけわかんない説得で乗り込んできた女をいったん返し、式が終わって間もなく浮気、のほうがありそうな気がするんだが、どうだろう?

で、ラストで倫子に合鍵を返されて深々と頭を下げる仕草が、なんか八郎さんをほうふつとさせます。

 

 一方の先日スタートした「リモラブ」は、

「あれ、八郎さんと、阿湖姫がオフィスラブ?」でユルく(笑)

そっか、脚本が水橋文美江さんだもんねー

 

ところで、檸檬さんは誰なんだろう?渡辺大だったら面白いのに。いや、そもそも男かどうか、すら怪しいわけだし、相手が女だったら、なお面白いかも。

2020/10/18 06:10 「秘密の森」Season2 第十六話 後編2020.10.5

 一杯やろうとおち合ったシモクとヨジン。ヨジンは出会った時のように、髪が短くなっていた。シモクの異動の報告を聞いて寂しそうなヨジン。「廊下の先でイ・チャンジュン総長、ヨン・ウンス、カン・ヨンチョル検事長そしてユン課長が楽しそうに立ち話をしていた。後ろからソ・ドンジェが自分を追い越して彼らに近づいて行ったが、イ・チャンジュン総長はまるで「こちらに来てはいけない」とでもいうように彼を手で制止した。」シモクは先日の夢の話をする。「またいつか」再会を祈って二人は乾杯した。

 意識は戻ったものの、話は出来ないソ・ドンジェをイ・ヨンジェ会長は見舞った。「話は出来ませんけど、こちらの言うことは全部理解しています。」と妻は言った。「早く良くなって。以前のようにばっちり決めて、闊歩しなくちゃ。あなたは私とパク・グァンスの関係を知る唯一の人間なの・・・早く良くなってね。」激励なのか脅しなのかよくわからない言葉を残し、イ・ヨンジェ会長は病室を後にする。 

 ヨジンは服役中のユン課長に会いに行った。「差し入れの送り主が分かりました。」送り主はキョンワン。彼が二年前に殺害したパク・ムソンの息子だった。何かの間違いだろうというユン課長に「似たようなことをする人を見たことがあります。多分あなたの存在は、彼にとって大事な意味を持っているのでしょう。それが何かはご自身で聞いてみてください。」また来ますとヨジンは約束した。

 偽の目撃者チョン・ギヒョクは供述を始めていた。龍山警察署の強行犯係にも、異動で新しい捜査員が配属された。ヨジンも部署が変わったが、挨拶に誰も反応しない。四面楚歌は相変わらずだった。

 シモクはカン・ヨンチョルに会いに行った。釣り糸を垂れながらも釣る気の全くないカン・ヨンチョルは「ウ・テハはまだ逮捕されないままのようだな」と漏らす。「どれだけここにとどまっても、過去は消せませんよ」というシモクの言葉に「つくづく冷たい奴だな」とカン・ヨンチョル。

 議政府検察支局のチョン・ミナ検事の許に、セゴク署の自殺事件のファイルが戻ってきた。セゴク署の同僚が隠していた自殺した巡査の遺書と、「自分は異動になって担当を外れるので、貴女が捜査を引き継いでください。」というシモクのメッセージを受け取り、チョン・ミナは仕事にかかる。

 警察庁の情報局に新任の部長が着任し、あいさつ回りをしていた。彼は案内役が紹介しなかったヨジンにわざわざって近寄って来た。「チェ・ビッから貴女のことは聞いている。一緒に仕事するのが楽しみです。よろしく、ハン・ヨジン警部」握手を求められたヨジンは少しだけ気分が上向いた。

「ファン検事、やっぱりここにいたんですね!」シモクが振り向くとそこには二年前自分の担当事務官だったキム・ホソプ事務官がいた。なんと今のオフィスはシモクの隣の部屋だという。二年前一緒に仕事をしたチョ女史は郷里に近い支局に異動になったとのこと。彼らの出身地を忘れずにいたシモクのことを「相変わらずですね」とキム事務官。

思わず笑顔になったシモクを見て、「あ、今笑いましたよね」とキム・ホソプは盛り上がった。

 

というわけで、韓流ドラマ「秘密の森Season2」はこれで終わりとなりました。よくわからない法律用語を極力端折ったため、ざっくりとまとまりのないあらすじ解説にお付き合いくださって、ありがとうございました。

2020/10/16 21:37 「秘密の森」Season2 第十六話 前編2020.10.5

 逮捕状請求の書類を持ってきたシモクと、後を追ってきたキム・サヒュンを前に長官は絶句した。

 ウ・テハの会見は先んじて行われたチェ・ビッの会見のせいでマスコミに完全に無視された。

「はったりではなく、ウ・テハ部長は、議員の息子の薬物使用の件を利用し、ハン警視をつぶす気だ。貴女が事実を公表し、自ら職を辞することでハン警視を守ってやってほしい。」

前の晩、シモクはチェ・ビッに会ってそう頼んだのだった。チェ・ビッはパク・グァンス弁護士の死に関する経緯を公表し自らの関与を認め、被害者の遺族に謝罪して辞意を表明した。ハンジョのイ・ヨンジェ会長とパク常務は計画変更を余儀なくされ、オ・ジソン弁護士はハンジョからお払い箱になった。

 長官は決裁した書類をキム・サヒュンではなくシモクに渡した。「上司の捜査をやりたいって言うんなら、お前がやれ」

「前向きに考えて、新たなパートナーを探しましょう」サバサバした様子のオ・ジソンにカン・ヨンチョルは食ってかかるが、彼の返事は「自分の目標はただ一つ。子供が大学を卒業したら引退する。そしてこの国との関係を全て絶って、太平洋のどこかの島へでも移住して楽しい余生を送る。それを達成するためにはどんなガマンでもする。」と、ドライそのものだった。結局カン・ヨンチョルはハンジョが用意していた罠にはまり、窮地に陥る。

 「自分だけいい子になって生き残りやがって。こっちは最悪の気分だ」ウ・テハは電話でチェ・ビッを非難した。部下に最後の挨拶をして、チェ・ビッは警察庁を去った。スタッフは全員敬礼で彼女を見送ったが、ただ一人、ヨジンだけはそれをしなかった。ヨジンに非難を浴びせる同僚たち。彼女は完全に孤立してしまった。

 「どんな様子だ?」シモクがウ・テハの事情聴取を始めてしばらくして長官からメッセージが来た。

やってきたシモクを前に長官は「二度は言わん、もうウ・テハのことは構うな」と懐柔を試みるが、シモクは承知しなかった。言うことを聞かないシモクに長官は激怒する。

 シモクがイ・チャンジュンやヨン・ウンスの夢を見ていたところに電話が鳴った。カン・ヨンチョルからだった。崖っぷちの気分ながらもERにソ・ドンジェの様子を見に来ていた彼は、ソ・ドンジェのベッドの周りが急に騒がしくなったのに慌て、近親者を探しに走り出す。ソ・ドンジェが目を覚まそうとしていた。

 協議委員会が空中分解してしまい、チャン・ゴンに日常が戻ってきた。情報部でシン・ジェヨン局長が訓示した後、ヨジンは「上司を引きずり下ろした」と同僚二人から龍山警察署にでも転属願いを出したらどうかと当てこすりを言われるが、ヨジンは拒否した。彼女の孤独な戦いが始まろうとしていた。

 「協議委員会が解散したので、君は元々の異動先へ移ることになった。」シモクは来週早々、原州支局に着任することになった。一連の出来事を振り返るシモクとキム・サヒュン。「皆が君やハン・ヨジン警部のように自分の職務を果たしていれば、捜査の主導権を巡って争うようなことはないんだろうな」とキム・サヒュン。

 カン・ヨンチョルがイ・ヨンジェ会長のところへやってきた。「辞職の御挨拶だそうです。」パク常務の言葉に驚くヨンジェ。「自分は退く。だが、ファンシモクにはこれ以上関わらないでほしい」カン・ヨンチョルは警告した。「亡くなった御主人の最大の過ちは、貴女に出会ったことだ。会長がご主人をハンジョグループへ引きずり込まなければ、そのまま検察でキャリアを重ねていたら命を落とすこともなかった。ファン・シモクは亡きご主人が最も信頼していた部下だ。ご主人が成し遂げられなかったことは彼に引き継がれ、必ずや成し遂げられるだろう。お願いだから、ファン・シモクと、貴女のせいで命を落としかけたソ・ドンジェにはこれ以上関わらないでほしい。」あなた方も変わらなければならないという言葉に、激怒するヨンジェ。

 

カン・ヨンチョルに対し、ヒステリックに喚くイ・ヨンジェ会長は多分「コンプライアンスの遵守?冗談じゃないわ!」みたいなことを言っている、と思うのだが、どうだろう?