裄は短しタスキは長し

数種類のテーマを軸にその時の気分で書きます

2020/04/15 21:25 「カラマーゾフの兄弟」2013年 フジテレビ系  

 3月末にはおそらくこうなるだろうと予想はしていたが、予想通りスカーレットロス、八郎さんロスに陥り、今も続いている。

 とりあえずグリーフケアの対策として、八郎さんの見どころをダビングしたDVDはまだ消去していないが、松下洸平さんのそれ以前の出演作が見たいよね、ということで探してみたら、韓ドラの視聴で度々お世話になっているFree Drama OnlineJapanese Dramaのリストに「カラマーゾフの兄弟」(Karamazov no Kyodai)があった。

 

 ロシア文学、というと登場人物の名前でまず挫折する。

フルネームは、まずもって1行では収まっていない。しかも、アレクサンドルがサーシャ、とか通称、愛称が分かりにくい。機会があればチェーホフの短編集に挑戦したいな、と思うこともあるが、トルストイもドストエフスキーも遠慮したい気持ちに変わりはない。

 ただ、舞台を日本に置き換えてドラマ化、となれば話は別だ。スラブ行進曲をはじめとするクラシックの名曲とローリングストーンズやレッドツェッペリンなどのロックの古典ともいえる名曲をBGMに、重厚な空気が画面から発散される。

 2013年、オンエア当時の松下さんは、今より頬がふっくらしており、今よりちょっと幼くてかわいらしい印象を受ける。あらすじはブログ等で他の方が細かく解説してくれているものがあるのでここでは触れず、松下さん演ずる黒沢家の使用人、末松進についてだけ書かせていただく。最低限の説明は必要だと思うのでネタばらしをするが、劇中の殺人事件の真犯人はこの末松である。

 ドラマを放映時にリアルタイムで見ていたら、受け止め方が違ったのだろうが、今最終話の黒澤勲役の市原隼人さんと末松役の松下さんのシーンを見ると、自分が完全に末松の視点にロックしていることを自覚する。

 殺人を「処刑した」という末松の言い分には勿論賛同できない。だが犯行を告白する彼に対する勲の反応に、「そこまであからさまに拒絶しなくても」と、末松に同情するというか、勲に対して「アンタには支えとなる兄弟がいてくれただけ、マシじゃん。」と末松の孤独に全く寄り添ってやれない勲に反感を覚える、という変な感情が生じて、我ながら可笑しくなった。あそこで末松が逃げ出す前に、林遣都さん演ずる黒澤涼が家に到着していたら、彼なら違う反応をしたのではないか。それなら末松に、もっと救いのある結末になったような気もするが、ロシア文学は弥陀の慈悲とは無縁だから、そうもいかなかったのだろう。

 

 余談だが、黒澤涼役の林遣都さんは大野信作役で、松下さんと「スカーレット」でも共演、涼の恩師の園田教授は「もう一度君にプロポーズ」「捜査会議はリビングで」「捜査会議はリビングで・おかわり」で共演、黒澤家の元家政婦、丸山八重子役の山野海さんも「捜査会議はリビングで」「捜査会議はリビングで・おかわり」で共演している

2020/04/11 22:43 「日の名残り」The Remains of the Day 1993年

 少し前からカテゴリのタイトル「いくつになってもテレビっ子」が、今一つしっくりこないと感じていた。

ドラマの感想は回数がすすんで中盤になってから紹介しても、ストーリーが追えずに楽しめないかもしれない。ひどい時は最終話を見終わってから感想を書きたくなる。オンエアに間に合っていないが、どうしても伝えたい、と思ってしまう。

 地上波、BSとも昔ながらの再放送は今も健在だし、最近はネットでの見逃し配信も充実している。取り上げるドラマの進行の程度を、以前ほど気にする必要はないのかもしれない。ならばカテゴリーをえいっと改称してしまえ。

 ということで、名称を「いつか再放送であいましょう」にしました。ドラマだけでなく、映画も対象です。DVDレンタルなどの参考にして頂ければ嬉しいです。

 

 というわけで、改称第一弾は映画「日の名残り(原題The Remains of the Day」。原作カズオ・イシグロ。監督ジェイムズ・アイヴォリー。主演アンソニー・ホプキンス。1993年公開。

 監督がアイヴォリーだったかー。どうりでイギリスの上流階級、支配階級のお屋敷と暮らしぶりの映像がリアルだよなーと納得していたが、検索して確認したらアイヴォリー本人はイギリス人ではなく、アメリカ人と知って大変驚いた。

 カズオ・イシグロの原作は、日本人と日本人以外の人、とりわけヨーロッパ圏の人で、感想がはっきり分かれる、という特徴があるらしい。映画版も原作の空気感を忠実に再現しているので、やはり同じ印象だと思う。

 具体的に説明すると、私は日本人なので、これはイギリスの貴族のお屋敷に仕えた執事が一人称で語る物語で、主のゲストのもてなしや、日々の暮らしぶり、仕事ぶりを見て、当然イギリス的だと受け止めるが、日本人以外の人は、父の臨終よりもゲストのもてなしが第一の執事、スティーブンスの厳格でストイックなプロ意識に日本の侍のような印象を受けるのだという。

 

 イギリスの御領主さまのお屋敷は邸宅そのものも、調度品も、そして当然、広大な庭も美しい。

 いただけないのは、ダーリントン卿の人となりで、崇高すぎる理念と中途半端な善良さしか待ち合わせていない彼は、ドイツ人の親友と敵味方に分かれて戦うことになったために、厳格な平和主義者となったのはいいが、戦死した親友への哀惜から親ドイツの態度を隠そうともしないし、ユダヤ人の娘を雇い入れてリベラルなところを見せようとしたのもつかの間、自分のゲストに不愉快な思いをさせるわけにはいかないのだと彼女たちを解雇し、解雇したらしたで、今度は良心が痛み出し、もう一度雇ってもいい、とスティーブンスに行方を探させる。そのキャラクターが、冷酷なまでに職務に忠実で、ストイックな執事スティーブンスのそれと対照的、というのが面白い。

 もう一つ面白いのは、件のお屋敷は間違いなくイギリスの貴族の館なのだが、まるで日本の忍者屋敷の隠し扉のように、使用人たちが行き来するための裏階段に通じるドアが、だまし絵のようになっている。

2020/04/07 21:37 「うちで踊ろう」を練習中です。

2日ほど前、松下洸平さんのインスタをチェックしたら、星野源さんとコラボしている動画がアップされていて、「え?この二人ってお友達だったの?」と驚いたのだがそうではなかった。

まず星野さんが「歌や踊りでコラボして拡散してください」という趣旨で動画「うちで踊ろう」をアップして、コロナインパクトでなかなか外出できない、自粛しなきゃいけない社会全体を励まそう、という企画だった。

この企画、現在有名アーティストや俳優さん、芸人さんが続々コラボ映像をアップし、急速拡散中らしい。

で、ついしょうこは踊りも歌もコラボする気は全くないが、素敵な歌なのでちょっと練習して口ずさんじゃおうかな、と練習を始めた。興味のある方、動画はこちらから

https://www.youtube.com/watch?v=b4DeMn_TtF4

 

 

うちで踊ろう 詩・曲 星野源

 

たまに重なり合うよな 僕ら

扉閉じれば 明日が生まれるなら 遊ぼう 一緒に

 

うちで踊ろう 一人踊ろう 変わらぬ鼓動 弾ませろよ

生きて踊ろう 僕らそれぞれの場所で 重なり合うよ

 

うちで歌おう 悲しみの向こう 全ての歌で 手をつなごう

生きてまた会おう 僕らそれぞれの場所で 重なり合えそうだ

 

2020/04/02 22:35 「棲月・隠蔽捜査7」今野敏

若竹七海と今野敏を行ったり来たりする日々に、なかなか終りが見えない。

 隠蔽捜査シリーズは今回の「棲月・隠蔽捜査7」を除けばあと1作、若竹七海はとりあえず「不穏な眠り」までは何とか到達したいのだが、図書館へ行くとなぜか書架にない。

 というわけで、今回は「棲月・隠蔽捜査7」。最初に結末をばらしてしまうが、前作では「去就」というタイトルにもかかわらず、大森署に残留した竜崎署長が、いよいよ本作のラストで神奈川県警の刑事部長に栄転する。

 棲月とはどういう意味だろう?漢和辞典を調べてもそのような熟語は存在せず、ネットで検索した結果、どうやら作者の造語らしいと判明。にしても字面から受ける印象はすこぶるよろしい。

 月の棲、月に棲む。本作ではサイバーテロの実行犯で、殺人事件の主犯のハンドルネーム「ルナリアン」(月に棲む者)を漢字に置き換えたらしいことは読み進むうちに分かってくるが、竜崎は所轄の署長はこれが最後、とばかりに早朝から殺人事件の現場に臨場したり、重要参考人の事情聴取に立ち会ったり、家宅捜索令状を取った後、時間がもったいないからとそのまま現場に届けて家宅捜索に参加したりと、キャリア官僚らしからぬ軽いフットワークを見せる。

 その一方で、捜査本部が設置されている状況で人事の件で署を離れるなどもってのほかだと長官官房の人事課長に大森署まで足を運ばせるわ、逆上した警察庁の生安部長の抗議の電話に、「もうすぐ県警の刑事部長だ。立場は対等になる」と気が大きくなった末に

「用があるならそちらがいらっしゃればいい。こちらからうかがうことは出来ません」

と突っぱねたうえ、「筋を通せ」つまり侘びを入れに来いと喚き散らす先方に

「私は、こういう場合どうやったら筋を通すことができるのかわからないのです」

と言って呼び出しをことごとく拒否するわで、周囲を惑わせる。

 事件解決から異動のその日まで、これまで何かと竜崎と対立してきた、階級は下だが組織内では上席の面々が次々と署長室にやってくる。これがまた面白い。

 

2020/03/28 20:23 「サンタクロースのせいにしよう」若竹七海

 

 表題作「サンタクロースのせいにしよう」だけは、どこかの出版社のミステリ傑作選で読んだことがあったのだが、短編集そのものは縁がなくて読んだことがなかった。久しぶりに図書館通いを再開して若竹七海の作品を集中して読もうとしたら、以前は置いてなかった「サンタクロースのせいにしよう」があった。

 「私」こと岡村柊子が友達の紹介で、新たに一戸建てでルームシェアをすることになった。料理さえ作ってもらえるなら、家賃は相手が負担。こんなおいしい話を逃す手はない―引っ越した先の同居した相手は、人気俳優を父に持つ変わり者のお嬢様、松江銀子さん。

 変わっているのは住人だけではない。住まいの方も幽霊が出たり、ゴミ捨て場に死体が遺棄されたり、なぜかトラブルが続発する。

 葉村晶や小林・御子柴コンビが初めて登場する前回の「プレゼント」はこの一年後に発表されるのだが、本作の方は刑事事件の色合いがない。デビュー作「ぼくのミステリな日常」と「プレゼント」の中間だろうか。 

 おや、と思ったのは柊子に銀子を紹介した友人の彦坂夏見と銀子の異母兄、曽我竜郎。夏見のべらんめえ口調は、彼女の知的な部分をつぶして粗野な印象を受けるし、竜郎が屈折しているのはいいが、あっていいはずの本質的な行儀のよさが感じられない。若竹さんも若かったのかな、まさかそんなことではないでしょうが。

 

 それにしても、3/2277件、3/2360件。この2日だけまたもや当ブログの平均閲覧数から突出している。

一体何がヒットしているのだろうか。