井手塾高田教室の髙橋です。
小・中学生の国語と英語を担当しています。
昨日6/24(金)は猛暑日でした。
また暑い夏が来ましたね。
突然ですが、みなさんに問題です。
次の言葉の正しい意味や使い方を知っていますか。
①失笑
②確信犯
③しおどき(潮時)
①失笑
「他人を小馬鹿にして笑う」という使い方をしている人が多いようですが、
「失笑」は本来「こらえきれずに笑ってしまう」という意味です。
笑ってはいけない場面で、(笑うつもりはないのに)失敗して笑うという感じの言葉なのです。
他人の失敗を小馬鹿にして笑うのではなく、自分が笑ってしまったことそのものが
失敗だったというのが、本来の「失笑」です。
②確信犯
「悪いとわかっていて行う犯罪行為」という使い方をしている人が多いようですが、
「確信犯」は本来「正しいと信じて行う犯罪行為」という意味です。
犯罪はすべて悪いことですが、「悪いとわかっていて行う」のではなく、
「正しいと信じておこなったのに、それは犯罪だった」というのが「確信犯」の本来の意味です。
同じ犯罪でも「悪いとわかっていて行う」のと「正しいと信じて行う」のでは
意味が違いますよね。
③しおどき(潮時)
「しおどき」は「潮時」と書き、元々は「潮の満ちる時、または、引く時」の意味です。
転じて、「物事を始めたり終えたりするのに適当な時期、好機」という意味です。
「ものごとの終わり」「引き際」という使い方をされていることが多いようですが、
「適当な時期」「好機」という意味が込められていないと誤用となります。
上の①②③は、意味を取り間違えて誤用されることが多い言葉です。
国語を担当する立場では、「正しい意味をしっかりと覚えて使ってください」と言うべきでしょう。
しかし、個人的にはこういう誤用の多い言葉は、「あまり使わない方がいい」と考えています。
仮に発信する側が「正しい意味」で使ったとしても、受け止める側が「間違った意味」で理解していたら、
正しいことが伝わらないばかりか、相手に不快感を与えることにもつながります。
同じく誤用の多い「情けは人のためならず」を例に挙げてみます。
「情けは人のためならず」は本来「人に情けをかけておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」
という意味ですが、「人に情けをかけてやることは、その人のためにならない」という意味で
間違って使う人が多い言葉です。
例えば、人助けをしてケガをしてしまった人がいたとして、その人をねぎらうつもりで
この「情けは人のためならず」の言葉を言ったとします。
しかし、その人が「人に情けをかけてやることは、その人のためにならない」という意味で
この言葉を理解していたら、どう思うでしょうか。
ねぎらいのつもりでかけた言葉が、相手に不快感を与えることになります。
これからどんどん成長していく子どもたちには、正しい言葉を正しい意味で覚えていってほしいと思います。
一方で、大人の社会では、間違った言葉の使い方を責めていてもあまり意味がありません。
円滑なコミュニケーションがとても重要であり、そのためには言葉選びがとても重要です。
自分が「伝える」ことが、正確に、そして、気持ちよく相手に「伝わる」言葉選びをしたいものです。
私自身も反省して、気をつけていきたいと思います。