国技大相撲は、日本人の優勝でその嬉しさで日本中が湧きかえっているのではないでしょうか。
今場所は、『稀勢の里』が優勝して、久方ぶりの日本人横綱誕生かと期待されましたが、序盤早々にその期待は潰えてしまいました。やはり私の予想は当たってしまいました。全国の相撲ファンもガッカリしたことでしょう。
しかし、誰も想像していなかったカド番大関『豪栄道』が、どうしたことか、白星に白星を重ね、二横綱(白鵬は休場)を堂々とした相撲で破り、あれよあれよと言う間に14日目に優勝を決めてしまいました。優勝のインタビュールームで、無言の涙が頬を伝わる姿が全国に放映されました。
苦労に苦労を重ねながらも、しかし力士の宿命たる怪我と病気に苦しみ、やっと掴んだ栄光は言葉ではなく、思いの果ての涙が、真剣勝負の世界に生きる男の心情をこの上なく如実に表していました。そして感極まって感激の気持ちが胸につかえ言葉では言えず、只々涙する力士の男の顔に、ファンはたまらない人間味を感ずるものであります。
豪栄道は今回の優勝で、自分に自信を持ち、基本通りに前へ出る相撲を徹底的に身に付ける稽古をして欲しいと思います。精神面を鍛え、間違っても楽して勝つ相撲は絶対に取らないことが肝要です。今場所はその“我慢”が良く出来ていた場所でした。
一般社会においても同じことが言えます。“苦労無くして栄光なし”。ひとが成功を勝ち取るのは猛烈な努力、執念、そして信念です。選挙に出馬し、当選を勝ち取り、議員になって政治と云う戦場で戦うことも同じと言えます。
“念”とは「今の心、常に戰上に在り」と言う事であり、全て今の修行の気を緩めない心です。
豪栄道はこれから圧し掛かる様々なプレッシャーに負けず、九州場所では自信を持って前へ出る自分の相撲を取り切ってください。
全国の相撲ファンは日本人横綱の土俵入りを見たいと思っています。頑張って下さい。