何気ない一言が、心の中に痛みや苦しみ、悲しみを一生忘れない程の傷を付ける。福島原発事故で故郷を離れ、避難している学童に、本来なら暖かい思いやりの心で気を使わなければならないはずの担任の教師が、不見識な差別用語を用いて、教室の中で、皆の前で発した一言。その児童は、大変自尊心を傷付けられ、学校に行きたくなくなるのは当然の事だと思います。
また、群馬県に避難している子供も学校でいじめを受けているそうですが、この年の暮れに来て、明るいニュースではなく、言葉に表せないものがあり、人間社会の心の深淵を見た様な暗い気持ちになってしまいます。文明や文化が進み、また平和な時代も当たり前のように時だけが流れています。しかし、人の心から思いやりや情が薄くなり、物質的には豊かになりながらも、人に対しての気配りも消えています。
愛情、友情、恩情、情緒など日本人らしい伝統の人情豊かな芸術や文化も昭和の時代で幕が下りた様な感じがします。特にパソコンやスマートフォンで情報だけは氾濫しておりますが、機械的でそこに人間味が感じられず、物が廻りに有り過ぎる為、人間の心の中が解らなくなってしまった結果、自分勝手で人の事など少しも考えず、自分さえ楽しければ、自分さえ良ければ、廻りの事など俺には関係ないと言う人間が多い社会になっていると思います。
これは外国から利己主義、個人主義の考えが入って来てから、日本の「情」、日本人ならではの繊細なものを何処かに置き忘れて来た結果です。盆暮の挨拶や先祖への供養も忘れ、目先の損得ばかり考えている現代社会は大きな曲がり角に来ています。警鐘を鳴らしましょう。この乾いた人間の心に、優しさや暖かい潤いの心を取り戻せる世の中を創造する事が、今一番の課題だと思っています。