えいじま義雄の蓮風便り

「蓮」の花と薫りのように清く「義」一筋に政治の道を貫きます

2020/08/05 18:03 <地獄から這い上がった力士>

 両膝の怪我や手術、糖尿病、肝炎などによる休場で序二段48枚目まで落ちた天下の大関を張った照ノ富士が、今場所前頭の一番幕尻で今年初場所の徳勝龍以来の優勝と言う話題と記録ずくめの七月場所が終わりました。

 人生と言う道は順風満帆の時程注意深く用心しなくてはならないのですが、皮肉にもそんな時に限って不幸が忍び寄る事が多いのです。力士は特に短命と言われております通り病気と怪我は付き物の職業であり、稽古をしなければどんどん弱くなり精神的なストレスが糖尿病を増進させます。この力士は必ず大関、横綱に昇進出来ると親方も本人も後援者も思っていても、突然黒星が続き平幕に落ちやがて十両で相撲を取り、いつの日か廃業していった将来の有望力士を沢山見て来ましたが、今回の照ノ富士の大関を破り幕内最下位の地位での幕ノ内最高優勝は立派なものだと思います。

 普通なら涙を流す力士が多いのですが表情を顔の出さず、あの辛かった日々を胸の中で堪えて淡々と優勝インタビューに応えていた姿は地獄から這い上がった人間の姿とオーラでした。

 人生は常に勝つか負けるかの厳しい環境の中に生活していますが、強い人は必ず這い上がって来た苦労と言う学校では教わって来なかった厳しい体験と苦労を味わって来たからこそ本物の人物と成り得てきたのです。商売も芸術家も小説家も役者もスポーツ選手も地獄を見て這い上がった者で無いとすぐ消えたり、いつの間にか見えなくなります。

 この頃の横綱、大関の役力士の入れ替わりが早く大関から平幕に落ちる力士が多いのが寂しいですが、やはり稽古前の準備のやり方、健康管理などの心構えが昔の力士との違いが出ています。昔の親方は一日中若い衆を叱り続けていました。今の若い人を叱るとパワハラだと言われてしまえば指導など出来ません。強い力士も育ちません。

 

 甘い考えの日本。甘い人間が増えると混乱と品格の無い国になってしまいます。そうならないように致しましょう。それでは又